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三菱自動車事件に見る日本の自動車産業のひずみ



軽自動車で数を売るという選択肢

今回の三菱自動車の不正事件に関して、モータージャーナリストの繁さんが日本の自動車産業の未来を考える。

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一連の相川社長の発言の中に、「会社存亡の危機」という言葉があった。今回の不正による影響を軽く見積もっても相当な金額になるのは明らかで、外から見ても「確かに」とうなずくしかない状況だ。そんな中で三菱自動車として存続し続けるためには、まずは何とかして今回の事に関する負の費用のリカバリーのことを考えなくてはならない。

まずは、社員のリストラかもしれない。また、アジア事業の強化かもしれない。しかし、とにかく売れる商品を開発して、売って、工場をまわしていくことが基本になる。まわすために、商品は「数」がでることがキーになる。人間で言うと、大怪我した時の輸血みたいなもので、血をまわさないと死んでしまうということ。

つまり、この場合は商品の収益率よりも「数」なのだ。そう考えると商品は「軽自動車」以外に考えられない。当然、過去のホンダにあったオデッセイやフィットなどのホームラン商品と呼べるものが小型車で作れるのが一番ですが、これはそう簡単にいかず、ここに賭けるのは「博打」にちかくなってしまう。

余談だが、ホンダのようにホームラン商品が出るには、「打ったら入った」というまぐれアタリもあるだろうが、そのための企業体質が必要なのだ。やはり、三菱自動車として会社の存続をかけて頑張るべきは軽自動車なのだ。

一方、デイズ・デイズルークスなど三菱自動車と共同で造った日産自動車からしても「軽自動車」は大切だ。日本の自動車マーケットの約4割が軽自動車なのだから、コレなくしては、それこそ多くの日産自動車の販売店がなりたたない。

現在好調なスバルは、軽自動車の生産から撤退し、現在はOEM供給をうけて販売している。販売店からは、「スバルは今好調なんだから、歴史あるスバルの軽自動車を開発、復活して欲しい。そして、それを売りたい」という声も上がっているそうだ。それほど、日本の販売店にとって軽自動車は大切なものだ。

日産自動車としても、以前のようなOEM主体の軽自動車ビジネスに戻ることは、日産自動車としての収益もだが、販売店も辛いと思う。(それでなくても、収益率が厳しい軽自動車だから)

日産で軽自動車を欲しいというユーザーに、他社が開発生産した軽自動車を売る…これは辛いだろう。

だから、「日産の軽」がどうしても必要だ。しかし、三菱自動車が三菱グループからの支援を期待して待っていて、時間が長くかかったり、最悪軽自動車から撤退でもされたりしたら、日産自動車はたまらない。

かと言って、日産自動車だけで軽事業を立ち上げるのは特に工場の投資が莫大になり、その回収が大変になる。なにより「売れる商品が開発できるのか?」という疑問もでる。

軽自動車は、日本のガラパゴスカテゴリーである。小型車と同じような開発や生産はできない。

それなりのノウハウが必要で、軽自動車に対する「愛」、さらに「軽自動車に乗られるお客様への愛」がないと、売れる軽自動車商品は開発できないのだ。「「愛?」なにを言ってんだ?」と思われるかもしれないが、モノ作りをご存知の方にはわかっていただけると思う。センスやカッコ良さだけでは駄目なのだ。

今回の提携に関しては、さすがゴーンさん。打つ手が早い。やはり最高の経営者だと思う。2000億や3000億は安い買い物だ。

自力のリスクで、しかも日本のためだけの軽自動車の開発・生産に投資するくらいなら、この金額でアジアに強い三菱自動車と近くなるのは大変な魅力である。もともと、グローバルで見ると日本の自動車市場の魅力はドンドン下がっている。モーターショー1つをとってみても、来場者数の観点からも、そうではないだろうか。日本人としては残念だが、そういうことなのだ。

しかも、日本の軽自動車は「税制ありき」のマーケットだ。政府の税金集めのためだけではないとしても、今後変化していく可能性は十分あるということで、これはリスクとなる。

つまり、軽自動車マーケットをこれから始めるとなると、カーメーカーにとっては、ハイリスク・ローリターンなのだ。(販売店は売るものがある方がもちろん良いのだが。)

また、日産自動車といってもルノーの子会社だ。三菱自動車が日産自動車と同じ立場というかその下になっていくのは、親会社にとって大きなメリットになると思う。

三菱グループとしても、三菱ブランドにキズがつかない形で、三菱自動車が自立していってくれれば、ありがたいと思うだろう。

長年に渡る三菱自動車の経営のやり方により今回の不正が生まれてしまったのだ。だから、経営者が悪い、責任は経営者だと、周りや従業員が言っても、それは「あとのまつり」である。

家電業界も含めて、戦後日本の産業発展は凄かったが、仮に、実質64年の東京オリンピックからと考えて、約50の長年に渡って日本を支え発展させてきた産業が、ここんとこ、ガタガタ、ギシギシと不穏なひずみが出てきている。

そこで、働いている人は勿論、日本全体としても、戦後からの一本調子のやり方を考えなおさないと、日本を支え発展させてきた企業、産業はどんどん海外にとられていってしまうだろうし、当然、次も育たない。

あるいは、ドイツやイギリスのように、何か次の国レベルの産業というか、国を成り立たせる「何かしらの収益源」に変わっていけば良いのだが、日本はどうも戦後からの一本調子のやり方からまだまだ抜け出せない感じだ。

家電や自動車などの日本の主要産業がゆらいでいる。強化するのか、別の道を探すのか、その両方か、いずれにしても「本気」でかからないと「日本沈没」につながってしまうのではないだろうか。



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