投資/政治/経済SUZUKI, VW

SUZUKIとVW提携解消で19.9%の株式買取、VWの売却益は2000億円だが損害賠償請求の可能性も

SX4 S-CROSS

SX4 S-CROSS

スズキとVW、どちらがトクしたのか

スズキとVWの提携解消が決定した。国際商業会議所国際仲裁裁判所に対して申し立てた仲裁に関し、8月29日に仲裁判断を受領した。Volkswagen Logo

スズキの発行済株式総数は561,047,304株で、8/28の時価総額は2兆3291億円。現在、VWが111,610千株を所有し、比率19.9%の筆頭株主となっている。2位は日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)で22,869千株、4.1%、3位は東京海上日動火災保険株式会社で17,961千株、3.2%と、2位以下は分散傾向にある。なお、スズキの自己株式は7,248株で、その分は除いて計算している。今回、提携の解消に至ったということで、スズキは19.9%の株を買い取り、主要株主である筆頭株主が異動する。平成26年12月9日に発表された自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)の方式によりVWから当社株式を取得する。

そもそも、2009年に結ばれた包括提携時には、VWはスズキの株を19.9%取得し、スズキはVWがスズキ株式の取得に投じた金額の2分の1(1億3000万円程度)を限度としてVW株式を取得するという意志を示したが、結果的に1.5%の保有となった。19.9%は、持分法適用会社にギリギリ入らない割合であり、スズキとしては独立性を保ちながら、VWと対等な関係性のままHVなど環境技術を協力しながら開発していく意向であった。

だが、2011年になると、VWからの技術供与は得られずに、さらにスズキが『財務的、経営方針上、重大な影響を与えることができる』会社とVWの決算書に明記される事態となった。スズキの言い分としては、アウディやベントレーなどVWの他のグループ会社と同じように扱ってはもらえない不満と、独立性の維持へのプライドを傷つけられたことが挙げられた。

そしてさらに、2013年からハンガリーで生産したSX4 S-CROSSの1.6Lディーゼルエンジンをフィアット社から提供されたことを機に、VWの怒りを買ってしまい、溝は深まっていく。

2011年11月18日にスズキはVWとの包括契約を解除する旨を通知し、更に、2011年11月24日に国際商業会議所国際仲裁裁判所に対して契約に基づき仲裁地をロンドンとする仲裁を申し立てた。その後、国際商業会議所の仲裁規則に従って仲裁廷が組織された。スズキは、この仲裁廷に対し、包括契約が有効に解除されたことを認めること及びこれに伴いVWが当社株式を当社又は当社の指定する第三者へ処分することを命じることなどを求めた。
他方で、VWは、当社の主張をすべて認めないこと及び当社が包括契約に違反したなどのVWの主張を認めることを仲裁廷に求めた。

仲裁廷は、包括契約が2011年11月18日付の上記解除通知により2012年5月18日に有効に解除されたことを認めた。

仲裁廷は、当社株式の処分に関する当社の主張を認め、VWに対し、直ちに同社が保有する当社株式を当社が合理的に決定する方法により当社又は当社の指定する第三者へ処分することを命じた。

また仲裁廷は、VWが主張したスズキの契約違反の一部を認め、かかる契約違反に基づく損害の有無及び額について引き続き仲裁において審議することを示したので、これに関してはまだ終了したというわけではない。

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株価を見ると、VWと提携が始まってからずっと低値が続いており、2013年あたりからグングンと株価は上昇している。VWとしては、2009年当時2370円だった株価が現在は4151円ほどになっているので、単純計算で2000億円近い投資益が得られるというわけだ。今年度スズキの利益剰余金は1兆円以上あるので、4632億円ほどの買い取りは問題がないだろう。話はVWが売却益を得られてめでたしめでたし、で終わらない。この後、スズキはフィアット社と提携を進めるのではないかという見通しも出ているので、反撃される恐れは十分にある。だからこそ、VWはスズキの株を売りたがらなかったのだろう。結果だけを見れば、2009年から今まで6年の間、時間と金のコストをかけたが、両社には何も生まれず、最低の生産性となった。両社ともかなり高い勉強代となったのではないだろうか。

なお、現時点でスズキの当期(平成28年3月期)の連結業績予想を修正する必要を見込んでいないという。
フォルクスワーゲン AG側からもコメントが発表された。「当社は、この判決により状況が明確になった事を歓迎しています。仲裁裁判所は、スズキ株式会社による、当社への契約違反の訴えを棄却し、フォルクスワーゲン AGが 契約上の義務を果たしたと認定した。しかし仲裁裁判所は、スズキ株式会社が規定に沿った通達に基づき、協業契約 を解除したことは合法であり、フォルクスワーゲン AG は所有している株式を売却しなければならないと判断した。この判決は、契約は規定に沿った通達に基づき解除可能であるという原則に基づくものである。フォルクスワーゲン AG は、収益及び流動性の改善を期待している。」2000億円の売却益で流動性が高まるとしている。
だが、VWは、仲裁裁判所は、スズキ株式会社による契約違反を認めたことに着目している。スズキが2010年末・2011年初頭に当時進 行中だった協業プロジェクトを突如中止し、またフォルクスワーゲン AG に対して、ディーゼルエンジン供給に関する 「最終交渉権(Last-Call Rights)」の行使を認めなかったことに対し、損害賠償を請求する権利を留保するとしている。損害賠償請求が行使される可能性は十二分にあるというわけだ。

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